サンリオタイムネット 過去編1

二十世紀末、日本のゲーム業界では、モンスターを仲間にして育ててバトルさせるというゲームが流行った。
もちろんポケモンがモンスターヒットした影響だ。

デジモン、テリワン、モンスターファーム、デビチルなどなど。
いわゆるポケモンの亜種ゲーと呼ばれるものの一つに、サンリオキャラが登場するものがあった。
それがサンリオタイムネットである。

俺は子供の頃このゲームを結構やっていて、なんなら一回無くしたので買い直したこともあった。
そんな二回も買った思い出深いゲームだが、実は一回もクリアしてなかったのである。多分どこかで詰んだんだろう。

てことで、大人になった俺がリベンジしていこうと思う。

 

過去編

さて、サンリオタイムネットはポケモンの影響を受けているので、もちろんバージョンが二つ存在する。
それが過去編と未来編だ。

バージョンによって特にシナリオに差は出ないが、モンスターの出現するタイミングなんかはかなり変わってくる。
特に大きく変わるのは最初に選べるモンスターである。

過去編で最初に選べる三体と、未来編で選べる三体が全部違うので、合計六体のモンスターが初期モンスターということになる。
サンリオタイムネットが今も続いていたとしたら、この六体は御三家ならぬ六摂家などとでも呼ばれていたことだろう。

そしてこの六摂家の中に特筆すべきやつが一体いる。
それが「ウンチンボーヤ」である。

ウンチンボーヤは名は体を表すということわざを地で行く、ウンチがモチーフのキャラだ。
そんなキャラがまさかの初期モンスターにいるのだ。
仮にアニメ化でもされたら主人公の相棒がウンチになっていたかもしれない。というか人気で言えばなっていてもおかしくない。

このウンチンボーヤは過去編で選べるので、もちろん過去編でスタート。
今のネットが普及した時代でサンリオタイムネットが出ていたら、過去編と未来編の売り上げは結構差が出てたかも?

 

オープニング

空から一つの小さな光が落ちてきた。
それは二階の窓際に置いてあったパソコンに入り、メールとして届いた。
それに気づいた持ち主らしき少年「タイム」は、無警戒にもメールを開いてしまう。

だがそれも仕方がないかもしれない。時はまだ20世紀1998年。
フィッシングメールだとかスパムメールだとかが名付けられてすらいない時代だったのだ。確か、おそらく。
というよりパソコンなんて一家に一台あったら御の字だったこの時代に、自分のらしきパソコンを持っているタイムの家がすごいのだ。

タイムがメールを開けると、そこにメッセージはなく代わりにおじいさんの姿が。
おじいさん(時の老人)はタイムと会話できるとわかるや否や「わしらの世界を助けてほしいのじゃ」と懇願してきた。
そしてタイムの返事も聞かずに説明を始める。

どうやらおじいさんの世界の時間を司る「時の柱」というものが、何者かの仕業で粉々に壊されたらしい。
そのせいで時間の流れがおかしくなり、世界は過去と未来の二つに分断されてしまった。
時間の流れが止まった世界はこのままだとやがて消えてしまうと。
そうなるまえに再び一つに戻してほしいと。

世界を元に戻せるのは、その世界とは別世界の時間を生きていて、なおかつ時の老人の言葉がわかる純粋な者だけだという。
そしてタイムの他にもう一人、すでに協力者がいるようだ。
それはタイムの友達の少女トキだった。

トキはタイムと顔を合わせると、一方的に「どっちが先に世界を戻せるか競争しよう」と、まるでライバルのようなこと言ってきて、返事も聞かずに先に行ってしまった。

続けてタイムも転送してもらう。が、転送中に謎の女の子が現れる。
謎の女の子は「助けて」と残してきた。

気が付くと転送は終わっていて、あたりは知らない景色に。
時の老人は転送中に話しかけてきた謎の女の子には気づかなかった様子で、話を進めてきた。

どうやら転送中に、この世界に留まれる服に着替えさせられたらしい。
それを聞いたタイムは「トキの服も着替えさせたのか?」などとは考えなかった。なぜなら彼は純粋だからだ。

タイムが来たのは過去の世界、そしてトキは未来の世界に転送されたらしい。
この二つの世界を元に戻すには、時の柱が粉々になったときに散らばった「ときのかけら」と呼ばれるモンスターを集める必要があるみたいだ。
タイムとトキはそれぞれ別の世界でモンスターを集めていくことになる。

時の老人はタイムに三体のモンスターを見せて、その中の一匹をボディガードとしてくれるようだ。
しかし、タイムが「ときのかけら」つまりモンスターを集めることが世界を元に戻すことにつながるなら、時の老人は三体ともあげるべきなのだ。
その方が早期解決につながるし、ボディガードとしての役割もより確実なものとなる。
未来では未来でまた違う三体を見せているので、そっちもトキに三体とも渡したらいい。などとはタイムは考えていなかった。彼は純粋だし、未来の世界のことは知る由もない。

タイムは三体の中から、まるで何かに導かれるようにしてウンチンボーヤを選んでいた。
最初から決めていたかのように。まさにノータイムで。

時の老人はゲットカードというモンスターを捕まえるアイテムを渡すと、情報を集めるといって消えていった。

かくしてタイムとウンチンボーヤの冒険は始まったのだ。つづく。